クレープのキッチンカーは儲かる？平均年収や始め方を解説

コロナ禍が落ち着いたことからイベントの開催も増えており、キッチンカーは気軽に開業しやすいビジネスとしても人気です。

キッチンカーのメニューの中でも「クレープ」は儲かるのか、疑問に思う方もいるでしょう。

本記事では、「クレープのキッチンカーのメリット・デメリット」「クレープのキッチンカーの平均年収」「クレープのキッチンカーの始め方・儲け方」などを解説します。

実際のキッチンカーの事例も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

クレープのキッチンカーは儲かる？メリットを解説

クレープのキッチンカーを出店するメリットは、主に4つです。

クレープは女性や子どもを中心に、幅広く人気があるメニューです。キッチンカーのメニューにクレープを選ぶメリットについて、順番に解説します。

一年中売れる

クレープは一年を通して、売り上げに大きな変動がないのが魅力です。

かき氷やおでんなどは季節性が高く、特定の季節以外は売れないため時期によってメニューを抜本的に変える必要があります。

しかし、クレープは夏に若干売り上げが落ちやすいものの、基本的には一年中売り上げを見込めるため安定して運営しやすいでしょう。

一日の売上でも、午前中からお昼にかけてはやや少ないですが14時以降はおやつ・軽食としての需要が高いためよく売れます。

キッチンカーで売れるメニューについては「絶対に失敗したくない人のための移動販売（キッチンカー）で売れる物の決め方」もご覧ください。

トッピング次第でメニューの幅が広げられる

クレープをキッチンカーで販売する場合、トッピング次第でメニューの幅が広げやすいのも大きなメリットです。

クレープは生クリームやフルーツを包んだデザートのイメージが強いですが、ツナやソーセージなどのおかず系食材を包んで軽食としても提供できます。

フルーツのバリエーションを豊かにして種類を増やすだけでなく、照り焼きチキンやキーマカレーなどのがっつりメニューを包めば食事にもなり、甘いものが苦手な層にもアプローチできます。

工夫次第で老若男女問わず幅広くお客様になってもらえるでしょう。

イベントでの販売と相性がよい

クレープのキッチンカーは、イベントでの販売と相性がよいのが特徴です。

キッチンカーの運営を成功させるには、土日のイベント出店でいかに売り上げを伸ばせるかが大切なポイントになります。

クレープは定番メニューで知らない人もほとんどいませんが、作り置きができないため、コンビニやスーパーで買うのは難しいです。家庭で作る際にも準備が必要なものが多いことから、イベントなどの外出先で買うことが多いでしょう。

クレープを食べることで外出時の非日常感が味わえるため、定番メニューでありながら人気が非常に高いです。

出店依頼をされることがある

クレープのキッチンカーは、キッチンカーの出店形態の一つである「出店依頼」をされる場合が多いです。

キッチンカーを出店する際に一般的なのは、キッチンカーの経営者が出店場所のオーナーと交渉して出店許可を得る方法です。しかし、住宅展示場などへの集客目的のイベントでは店舗から出店を依頼される場合があります。

出店依頼は「クレープ100食分で7万円」のようにあらかじめ報酬が決められている「買取出店」の形式が多いです。メニューが指定されていることがほとんどですが、クレープを指定する案件が多数を占めます。

出店すれば確実に利益になる買取出店の機会が得やすいでしょう。

クレープのキッチンカーは儲かる？デメリットを解説

クレープのキッチンカーを運営するうえでのデメリットは主に3つです。

定番メニューで人気のクレープですが、定番だからこそのデメリットや調理過程での問題もあります。クレープの販売時に気をつけるべき点について、詳しく解説します。

作り置きができず提供スピードがかかる

クレープは作り置きができないため、提供に時間がかかります。

クレープはあらかじめ生地を焼いてストックすることはできますが、クリームやフルーツ、おかずなどを包んだまま置いておくことはできません。

注文が入ってから一つずつ商品を作るうえ、トッピングを盛り付けて包むため、時間もかかります。

クレープのお店で長い列ができているイメージを持つ方もいると思いますが、列ができるのは提供スピードが遅いからです。

提供に時間がかかると売り上げが減るため、利益を伸ばすのが難しくなります。キッチンカー内部の動線を見直し、できるだけ素早く商品を提供する工夫が必要です。

クレープを焼く技術が必要になる

クレープのキッチンカーを運営する場合、クレープの生地を焼く技術が必要になります。

クレープの生地作りは簡単なように見えますが、生地を均等に伸ばして薄く綺麗に焼き上げるには正確な技術が求められます。また、トッピングをうまく包んで仕上げる練習もしなければなりません。

盛り付けるだけで完成してすぐに提供できるメニューとは異なり、商品を製作する練習が十分に必要なため、開業のハードルは他のメニューに比べて高くなりやすいでしょう。

また、ほかのスタッフを雇う際も教育に時間がかかることを考慮する必要があります。

競合のキッチンカーが多い

クレープは人気メニューのため、競合のキッチンカーが多い点にも気をつけましょう。

キッチンカーのクレープ店以外にもチェーンのクレープ店は数多く、特に都市部にはいくつものクレープ屋さんが存在する場合もあります。

出店予定のキッチンカーのメニューが被った場合、どちらかは営業できない場合がほとんどです。また、ショッピングモールなどに出店する場合はモール内にクレープ店があると出店許可が下りない場合もあります。

競合が多いと出店機会を失い、売り上げを伸ばせないかもしれません。柔軟にメニューを変えられるような内装の工夫も必要でしょう。

クレープのキッチンカーは儲かる？年収目安と収支シミュレーション

「クレープのキッチンカーは儲かるのか」「月々や年間の収入はどれくらいになるのだろう」と疑問に思う方も多いでしょう。

キッチンカーは自営業のため収入には個人差が大きく、販売計画や営業日数に大きく左右されます。

クレープのキッチンカーの「収支シミュレーション」「年収目安」について、詳しく解説します。

収支シミュレーション

クレープのキッチンカーを開業する前に、月々の収支のシミュレーションを行いましょう。

月の稼働日数が平日15日、休日10日で月の売上が80万円とすると、売上の55%の44万円が経費になります。残りの36万円から税金や社会保険料を除いた金額が手取り収入です。

年収目安

一般的に、キッチンカー事業者の平均年収は700万円程度です。

ただし一部の高収入のキッチンカーも含まれているため、一般的なキッチンカーの年収中央値は400〜500万円程度です。クレープのキッチンカーも、中央値と同程度を年収の目安にするとよいでしょう。

キッチンカー経営者の年収については、「キッチンカーの年収は？収入アップを目指すためのコツを解説」もご覧ください。

クレープのキッチンカーの開業形態

クレープのキッチンカーの開業形態は主に2つです。

キッチンカーを開業する際は、自分でお店のコンセプトを決めてブランドを立ち上げるか、フランチャイズに加盟して出店するかを選ぶ必要があります。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解して、自分に合う方法で開業しましょう。

オリジナルブランドで始める

クレープのキッチンカーを始める方法の一つは「オリジナルブランドを作って開業する」ことです。

自分のブランドを持つため、自分の思い通りにお店のコンセプトやメニューを決められます。自分のお店に愛着が湧きやすく、お客様も「この人のお店だから」とファンになってくれる確率が高いです。

フランチャイズへの加盟費などがかからないため、利益が全て自分のものになるのがメリットです。しかし、初心者にとっては開業やキッチンカー運営のノウハウが全くない状態で事業を安定させるのは難しいでしょう。

オリジナルブランドを立ち上げる場合は、開業準備により力を入れる必要があります。

フランチャイズで始める

クレープのキッチンカーを始める方法の2つ目は、「フランチャイズに加盟する」ことです。

フランチャイズに加盟すると、フランチャイズ本部で作られたノウハウやマニュアルを教えてもらえます。マニュアル通りの運営をすれば、キッチンカーを初めて開業する場合もリスクを抑えやすいでしょう。

しかしフランチャイズへの加盟料やロイヤリティが必要なため、売上が多くても利益が少ないのがデメリットです。

フランチャイズでのキッチンカーの始め方については、「フランチャイズのキッチンカーをはじめるには？開業までの流れとメリット・デメリットを解説」もご覧ください。

クレープのキッチンカーの始め方

クレープのキッチンカーを始めるまでの準備は、大きく分けて6ステップあります。

一つ一つ確実に行えば、安心して開業できるでしょう。クレープのキッチンカーの始め方について、順番に詳しく解説します。

事業計画を立てる

キッチンカーを開業する際は、まず事業計画を立てましょう。お店のコンセプトを決め、事業計画と資金計画を考えます。

事業計画を立てる際に検討すべき点は以下の通りです。

クレープは定番メニューのため、コンセプトを明確にしなければ競合と差別化できません。自分がどのようなお店を作りたいのか、明確に言葉にして考える必要があります。

融資を使って資金調達する場合、審査で事業計画書を提出するためより詳細な計画が求められます。事業計画が明確だと開業準備も進めやすく、開業後の運営もしやすくなるでしょう。

クレープの販売メニューを決める

コンセプトが決まったら、クレープの販売メニューを決めましょう。メニューは定番を中心にさまざまな種類を取り揃えれば、お客様の選択肢が増えてより購入されやすくなります。

クレープを購入する人の多くは生クリームやフルーツを使ったデザート系のメニューを購入します。チョコバナナ、いちご、カスタードなど、定番かつ人気の組み合わせを揃えるのがおすすめです。

また、出店場所の客層によっては、軽食用のツナやソーセージ、チーズなどを用意しても良いでしょう。より幅広いお客様の目に留まるかもしれません。

出店場所・仕込み場所を決める

メニューが決まったら、出店場所と仕込み場所を確保します。

クレープに限らず、キッチンカーの運営で成功するために最も重要なことの一つが「継続的な出店場所を確保すること」です。

出店場所がなければ売り上げもなくなるため、最優先で行う必要があります。場所もどこでも良いのではなく、事業計画で考えたターゲット層が多く集まる場所を狙って出店するのがおすすめです。

また、キッチンカー内部で行える仕込みに制限がある地域も多いため、生地やホイップクリームを仕込むために、保健所の営業許可を得たキッチンも確保しておきましょう。

キッチンカーを入手する

出店場所と仕込み場所が決まったら、キッチンカーを入手しましょう。

キッチンカーを製作する方法は主に3つです。

車種は軽トラックがおすすめです。軽バンやハイエースバンを利用したキッチンカーは車内が狭く、常に座ったままで作業するため体への負担が大きいですが、軽トラックなら無理のない姿勢で、ゆとりを持って作業できるでしょう。

軽トラックなら購入費用も大きなトラックよりは抑えられます。ただし、購入予定の調理機材のサイズや保健所の許可基準によっては、1.0t普通車トラック以上の車両も考える必要があります。

営業許可を取得する

キッチンカーを入手し、内装が整ったら保健所で営業許可を取得しましょう。キッチンカーは食品を扱うため、出店する地域で飲食店営業の許可を取らなければなりません。

営業許可を取得するには、保健所でもらえる申請書類を提出したあと施設検査に合格する必要があります。

施設検査にはいくつか基準があり、地域によって基準にばらつきがあるため管轄地域の保健所の担当者に基準を確認してからキッチンカーの製作を行うのがおすすめです。

キッチンカーの営業時に必要な資格については、「【2023年最新版】キッチンカーを開業するために取得すべき資格は？許可の申請方法も詳しく解説」もご覧ください。

開業準備をする

営業許可が下りたら、開業準備をしましょう。必須の準備項目は以下の2つです。

開業直前に慌てないよう、余裕を持って用意するのがおすすめです。

道具を揃える

クレープのキッチンカーで必要な調理道具は、主に以下の通りです。

クレープ焼き機はガス式と電気式があります。ガス式は本体価格が安く火力が強いですが温度管理が難しく、火器禁止の施設内では出店できません。

電気式は温度調節は容易ですが本体価格が高く、連続して焼くと鉄板温度が下がりやすくなるのがデメリットです。

トンボはクレープ生地を薄く伸ばす際に、スパチュラは焼き上がったクレープ生地を返す際に使用します。

キャッシュレス決済ができるようにする

現代ではキャッシュレス決済が日常的になり、現金を使わないことも増えています。

お客様が現金を持っていない場合でも気軽に購入できるよう、クレジットカードやバーコード決済などで払えるような機械を導入するのがおすすめです。

今後、キャッシュレス化はどんどん進んでいくと思われます。決済機器への初期投資は無駄にならないばかりか、ターゲット層を広げる観点からもメリットが大きいでしょう。

クレープのキッチンカーで儲かるためのコツ

クレープのキッチンカーで儲かるためのコツは主に5つです。

キッチンカーで利益を伸ばすには、販売数と一人当たりの購入数を増やす必要があります。クレープのキッチンカーで利益を出すためのコツを順番に紹介します。

回転率を高める

クレープのキッチンカーで利益を伸ばすには、回転率を高めることが重要です。提供スピードが上がれば多くのお客様に対応できるため、売上を伸ばせます。

クレープは生地にトッピングを包んだ状態での作り置きができないため、提供に時間がかかりがちです。集客が成功しても、長い列ができてお客様を待たせてしまうとお客様もうんざりし、離れてしまう可能性が上がります。

調理の動線やトッピングの盛り付け方、クレープの包み方などを工夫して練習を重ね、できるだけ提供スピードを上げましょう。

回転率が良いと多くのお客様に購入してもらえるだけでなく、評価も高くなりやすいです。

客単価を上げる

クレープのキッチンカーで利益を伸ばすには、客単価を上げる必要があります。客単価が上がれば、お客様が少なくても売上は伸びます。

クレープは客単価が低く、1つ500〜600円程度のため、客単価を上げるには工夫が必要です。

生地にオーガニック食材を使う、生クリームにこだわるなども良いでしょう。クレープに合うような紅茶やコーヒー、ジュースなどのドリンクとセットにしてお得な印象を出すのもおすすめです。

キッチンカーでおすすめのドリンクについては、「キッチンカーにおすすめのドリンクメニュー7選！機材や販売時の注意点も解説」もご覧ください。

出店場所を確保する

クレープのキッチンカーで儲けるには、出店場所の確保も欠かせません。安定した出店場所を見つけられると継続的な収入につながります。

フェスやイベントに出店すれば大きく稼げる可能性も高いですが、悪天候などで売り上げが伸びなかった場合に取り返しがつかない可能性があります。

キッチンカーの出店場所の探し方は以下の通りです。

さまざまなアプローチで自分に合った場所を探してください。

オリジナルメニューを考案する

クレープのキッチンカーでは、オリジナルメニューの開発も重要です。

クレープはキッチンカーでも定番メニューのため競合は多く、ほかのお店との差別化を図らなければ思ったように売上を伸ばすのは難しいです。

クレープ自体はメジャーですが、トッピングで個性を出しやすいため斬新なメニューを考えるのも良いでしょう。原材料にこだわり、当店オリジナルメニューとして提供するのもおすすめです。

競合と差別化し、「自分のお店のファン・リピーター」を作るのが売上を伸ばすことにつながります。

のぼりやタペストリーを活用して目立たせる

のぼりやタペストリーを活用し、キッチンカー自体を目立たせることもクレープのキッチンカーで儲けるには大切です。

キッチンカーで購入するお客様は、一般的にはたまたまキッチンカーのそばを通りがかった方です。通行人の目を引くような外装のデザインを作ることで、お客様を増やせるでしょう。

商品の写真やイメージを使い、自分のお店のコンセプトに合わせたのぼりやタペストリーを用意して積極的に集客に取り組むのがおすすめです。

キッチンカーのタペストリーについては、「キッチンカーの集客に役立つタペストリー！選び方・購入方法・作るときのコツまで詳しく解説」もご覧ください。

クレープのキッチンカー実例3選

実際にクレープのキッチンカーで成功している例を3つ紹介します。

どのお店も個性的で、お店の特色をしっかりアピールしています。これら3例をぜひご自身のお店の参考にしてください。

白いクレープのキッチンカー　しろのはち。

「白いクレープのキッチンカー  しろのはち。」様は、千葉県船橋市を拠点としながら、千葉県、茨城県、東京都、群馬県などで活躍しているキッチンカーです。

「関東キッチンカーNo.1決定戦」第1回優勝、第2回準優勝の実力派です。

「自分好みのクレープを食べて欲しい」との思いから、生地やトッピングを自由に組み合わせられるのが特徴で、注文はお客様自身がオーダーシートに記入して注文します。生地は2種類、トッピングは随時更新されますが10〜20種類程度用意されています。

InstagramやX、Facebookなどでの宣伝も積極的に行っており、出店予定も各SNSから確認できます。

クレープのおみせ Puu

「クレープのおみせ Puu」様は、千葉県を中心に活動するキッチンカーです。

クレープ好きの管理栄養士が出店しているキッチンカーで、「おいしいクレープで癒しの時間をお届けしたい」という思いを込めて体に優しいクレープを提供しています。

米粉を使用した卵不使用のプラントベースに対応した生地が人気で、生クリームやチョコレートなどもこだわって用意しています。

生地の食感やサイズも複数用意しており、自分の好みやお腹の空き具合などでも調整可能です。

期間限定のクレープもあるため、いつ行っても新鮮な驚きと楽しさを感じさせてくれるでしょう。

Once Upon A Time

「Once Upon A Time」様は、東京各地に出店しているキッチンカーです。

おとぎ話をコンセプトにしたキッチンカーで、童話のストーリーや登場人物をモチーフにしたメニューが人気を集めています。装飾も凝っているため、見ているだけでも楽しいクレープです。

外装もおとぎの国のような窓やタペストリー、看板を使用していてコンセプトによくマッチしています。

シンプルなクレープも販売しており、トッピングも豊富なため自分だけのオリジナルクレープを作ることも可能です。

ドリンクもいくつか販売しているため、クレープと一緒に楽しめるでしょう。

まとめ

本記事ではクレープのキッチンカーで儲けるためのポイントについて、以下の5点から解説しました。

クレープのキッチンカーは定番ですが安定して売上を得やすく、トッピングやコンセプトなどで工夫すれば競合との差別化もしやすいのが強みです。

調理にもコツが必要なクレープですが、イベント販売との相性も良く、継続的な出店場所があれば安定した収入も得やすいでしょう。本記事を参考に、ぜひクレープのキッチンカーの開業に向けて動き出してください。