「低コストで始められるビジネスに挑戦したい」「自分だけのカフェを運営したい」と考えている方に、キッチンカーでのコーヒー店開業は魅力的な選択肢です。移動式だからこそ好きな場所で営業でき、初期費用も抑えられる一方で、競合や運営上の課題もあります。
この記事では、キッチンカーでコーヒー店を開業する際のメリット・デメリット、必要な設備や許可、成功するためのコツをわかりやすく解説します。具体的な事例も紹介しているので、これを読めば、あなたも理想のコーヒーキッチンカーを目指せるはずです。
監修者 池田 拓矢
キッチンカーの窓口代表。1990年生まれ。2015年4月にキッチンカーで全国営業を開始し、月250万の売上を上げるまでに飛躍。キッチンカー業者として働いた経験と、苦戦から脱却できたノウハウを活かし、業界に足りていない仕組みを補い業者に寄り添った仲介会社になるべく、2018年9月にキッチンカーの窓口を始動。詳しいプロフィールはこちら
監修者 池田 拓矢
キッチンカーの窓口代表。1990年生まれ。2015年4月にキッチンカーで全国営業を開始し、月250万の売上を上げるまでに飛躍。キッチンカー業者として働いた経験と、苦戦から脱却できたノウハウを活かし、業界に足りていない仕組みを補い業者に寄り添った仲介会社になるべく、2018年9月にキッチンカーの窓口を始動。詳しいプロフィールはこちら
キッチンカーでコーヒー店を始めるメリット
キッチンカーでのコーヒー店開業は、多くの魅力が詰まっています。特別な技術や知識がなくても始められる手軽さや、固定店舗に比べて低コストでの運営が可能です。また、季節に応じたメニュー展開ができるため、一年を通して安定した集客が期待できます。
具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
専門技術がいらない
コーヒーは、コーヒーマシンに豆をセットするだけで、誰でも簡単に美味しい一杯を提供できます。味やクオリティにこだわることも可能ですが、基本的な操作だけでも十分に美味しいコーヒーを提供できるのが魅力です。
特別な調理スキルも不要なので、カフェでの勤務経験がなくても心配いりません。コーヒー豆とコーヒーマシンさえあれば、すぐにでもスタートできます。専用の調理器具も必要ないので、初期投資を大幅に抑えて開業できます。
オペレーションに労力がかからない
コーヒーは、豆をセットするだけで自動で抽出されるため、調理の手間が非常に少ないのが大きな魅力です。コーヒーが抽出されている間に、お客様とのコミュニケーションや注文対応に集中できます。特に、イベントなど来客数が多い場所での出店では、このメリットが活かされます。短時間で多くの注文に対応でき、スムーズなオペレーションが可能です。
コーヒーショップでは特定の時間帯に来客が集中しにくく、営業中は比較的安定してお客様が訪れる傾向があります。軽食やスイーツなど、事前に準備できるメニューを組み合わせれば、オーナー1人でも十分に対応可能な運営スタイルを実現できます。
初期投資を抑えられる
店舗を構えるよりも、キッチンカーでカフェを開業する方が、初期費用を大幅に抑えられるのは大きなメリットです。
移動式カフェの開業費用は、軽自動車の場合で100~150万円、普通車でも200~300万円程度が一般的です。一方で、店舗型のカフェを開業するには、土地や建物の購入、またはテナント契約といった高額な初期投資が必要になります。
このように、キッチンカーであれば初期費用が大幅に抑えられるため、少ない資金でカフェ開業を夢見ている方や、リスクを抑えて事業を始めたい方にとっては、キッチンカーは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
季節を問わず人気がある
コーヒーは、季節や時間帯を問わず、一年を通して安定した需要がある商品です。夏はアイスコーヒー、冬はホットコーヒーと、季節に応じたスタイルで提供できるため、年間を通じて安定した需要が期待できます。
例えば、キッチンカーでカレーやクレープを朝から販売しても、購入する人は限られがちですが、コーヒーであれば出勤前の一杯、ランチタイムのブレイク、午後のひと息など、様々なシーンでコーヒーは飲まれています。
キッチンカーでコーヒー店を始めるデメリット
移動式で手軽に始められるキッチンカーのコーヒー店ですが、全てがメリットというわけではありません。運営する上で注意すべき点や克服すべき課題もあります。ここでは、キッチンカーでコーヒーショップを開業する際に直面しやすいデメリットを解説します。
コーヒーのみだと客単価が低くなる
コーヒー単品の販売は、キッチンカーでも実店舗でも売り上げを大きく伸ばすのが難しい傾向があります。食事系メニューが700円~1,000円前後の価格帯であるのに対し、コーヒーは300円~500円が一般的な価格帯となり、どうしても単価が低くなりがちです。
売上を伸ばすためには、ホットドッグのような軽食やスコーンなどの焼き菓子を追加メニューとして取り入れるのがおすすめです。また、軽食メニューを揃えることで、ランチタイムへの出店も可能となるでしょう。
コーヒー単体での販売も工夫次第で売上を伸ばすことは可能ですが、メニューを拡充することで、より大きな売上と顧客満足度の向上を実現できます。
固定店舗が競合になる
コーヒー市場は、大手カフェチェーンや地域密着型の喫茶店だけでなく、コンビニエンスストアなど、様々な業態が参入しており、非常に競争が激しい状況です。
特に、コンビニは24時間営業で100円前後でコーヒーを提供しているため、いつでもどこでも手軽にコーヒーを飲みたいという消費者にとって、非常に強い競合相手となっています。こうした競合に対抗するには、メニュー構成や商品の魅力で差別化を図ることが必要です。
たとえば、コーヒーの抽出方法にこだわったり、厳選した豆を使った特別感のある商品を提供することで、他店との差を明確にし、顧客の関心を引く工夫が求められます。
コーヒー店のキッチンカー開業に必要な車両と設備
キッチンカーでコーヒー店を開業するには、適切な車両と設備が必要です。効率的な運営のためには、車両選びからコーヒーの抽出方法、保存設備まで、各設備に工夫が求められます。ここでは、開業に必要な車両と主な設備について解説します。
車両は軽トラック
キッチンカーを開業する際、車両の選択に悩む方は多いでしょう。コーヒー販売だけなら、軽バン型のコンパクトな車両で十分だと思いがちです。しかし、実際に運営を始めると、長時間の営業中に中腰で作業をすることが体に負担をかけることがあります。
軽トラック型のキッチンカーは、立ったままで作業ができるため、身体への負担を大きく減らすことができます。また、フードメニューの提供にも十分な作業スペースが確保でき、駐車スペースに関しても出店場所の制限が少なくなるため、非常に便利な選択肢です。
コーヒーメーカー
キッチンカーでコーヒー店を開業する際、コーヒーメーカーの選定は非常に重要です。ドリップ式とエスプレッソ式のどちらを選ぶかは、提供するコーヒーの種類やお店のスタイルに大きく影響します。また、電圧や消費電力にも注意が必要です。
ドリップ式かエスプレッソ式
ドリップ式は、コーヒー豆を挽いた粉をフィルターに入れ、お湯を注いで抽出するシンプルな方法です。価格が安価で、シンプルなブラックコーヒーを提供するには最適といえます。
キッチンカーで使用する際は、抽出後にコーヒーを保温できる機能があるものを選ぶと便利です。また、より本格的なコーヒーを提供したい場合は、ミルが付いていないタイプを選び、自分のミルで豆を挽くのもおすすめです。
エスプレッソやカフェラテ、カプチーノなどを提供したい場合には、エスプレッソ式が適しています。エスプレッソマシンには全自動タイプとセミオートタイプがあり、提供したいメニューに合わせて選びましょう。
ラテアートを提供したい場合は、全自動タイプではエスプレッソとミルクが一緒に出てしまうことが多いです。ラテアートを作りたい場合はセミオートタイプやスチームノズル付きの全自動タイプを選ぶと良いでしょう。
電圧と消費電力
コーヒーマシンを選ぶ上で最も重要なのが電圧と消費電力です。キッチンカーは、一般的な店舗のように安定した電力が供給されるわけではありません。
発電機や外部電源に頼らざるを得ないケースが多く、使える電力が限られているのです。多くの出店場所では「電圧100V・消費電力1,500W以下」という制限があり、消費電力が高いコーヒーマシンを使用すると、電力不足で動作しない可能性もあります。
電圧や消費電力を事前に確認し、適切な機種を選びましょう。
冷蔵庫・冷凍庫
キッチンカーでコーヒーを提供する上で、冷蔵庫・冷凍庫は欠かせない存在です。
牛乳、シロップ、クリームなど、コーヒーの美味しさを左右する材料は、適切な温度で保管する必要があります。特に夏場など気温が高い時期には、これらの材料の品質が劣化しやすく、衛生面からも注意が必要です。
その他
ドリンクを提供するためには、カップやストロー、蓋などの消耗品も必要です。これらは、飲み物を安全に提供するために欠かせないアイテムです。
キッチンカーでコーヒー店を開業するのに必要な許可
キッチンカーでコーヒー店を開業するためには、いくつかの許可が必要です。飲食業として営業を行うために必要な基本的な許可を取得することは、法律に基づく義務です。
以下に、開業に必要な許可について詳しくご説明します。
飲食店営業許可
2021年6月から、すべてのメニューで「飲食店営業許可」が必要となりました。営業許可を申請する際には、「食品衛生責任者の資格」と「移動販売に使用する車両の申請」が求められます。
なお、キッチンカーの営業許可について詳しくはキッチンカーで販売するための営業許可とは?取得費用から流れまで解説をご覧ください。
食品衛生責任者
食品を取り扱う営業を行う場合、施設ごとに必ず1名以上の食品衛生責任者を配置しなければなりません。食品衛生責任者の資格は、都道府県の食品衛生協会が実施する「食品衛生責任者養成講習会」を受講することで取得できます。
コーヒー店のキッチンカーで成功するコツ
コーヒー店のキッチンカーで成功するためには、単に良いコーヒーを提供するだけでは不十分です。競争が激しい市場で差別化を図り、安定した売上を上げるためには、いくつかの工夫が必要です。
ここでは、成功するためのコツとして「サイドメニューの販売」「車の見映え」「ユニークな演出」など、具体的な戦略をご紹介します。
サイドメニューを販売して客単価を上げる
コーヒーだけでは売上を伸ばすのが難しいという課題がありますが、その解決策として「サイドメニュー」を販売する方法があります。コーヒーのメニューを充実させることも大切ですが、軽食やスイーツといったサイドメニューを加えることで、客単価を効果的に上げることができます。
これにより、コーヒーショップの総合的な売上が増加し、さらには出店場所の選択肢も広がるでしょう。キッチンカーでコーヒーと一緒に販売することで、売上アップに繋がるサイドメニューを3つご紹介します。
・ホットドッグ
・ホットサンド
・焼き菓子
たとえば、ランチタイムに出店する際、コーヒー単品ではなく、ホットドッグやホットサンド、焼き菓子などをセットメニューとして提供すれば、より多くの顧客を引き付けられます。
これらのメニューはコーヒーとの相性も抜群で、手軽に調理できるため、効率的に運営できます。各メニューはシンプルでありながら、工夫次第でバリエーションを増やすことができ、単価の向上にも貢献できるでしょう。
車の見映えを意識する
キッチンカーの外装デザインは、店の内容を通行人に迅速に伝えるために非常に重要です。車自体に塗装を施さなくても、タペストリーや看板、のぼりを使って、どんな商品を提供しているかを目立たせることができます。
文字だけでなく、商品の写真を取り入れることで、視覚的にコーヒーショップの魅力をアピールすることが可能です。これにより、より多くの人々がどんなメニューが提供されているのか一目で理解しやすくなります。
なお、キッチンカーのタペストリーについて詳しくはキッチンカーの集客に役立つタペストリー!選び方・購入方法・作るときのコツまで詳しく解説をご覧ください。
ユニークな演出をする
コーヒーの移動販売を成功させるためには、他の店との差別化が重要です。コンビニや大手チェーン店でも手に入るコーヒーを提供しているだけでは、競争に勝つことは難しいため、付加価値を加えることが必要です。
オリジナリティを出す方法として、提供するカップにお店独自のロゴを印刷することが一例として挙げられます。このような工夫は、SNS映えにもつながり、集客効果を高めることが期待できます。カップにロゴ入りのシールを貼るだけでも、印象を強められるでしょう。
コーヒー店のキッチンカーにおすすめのサイドメニュー
コーヒー店のキッチンカーで提供するメインメニューであるコーヒーに加えて、サイドメニューを工夫することで、客単価を上げ、さらにリピーターを増やすことができます。
ここでは、コーヒーと相性が良く、キッチンカーで手軽に提供できるおすすめのサイドメニューを紹介します。
なお、キッチンカーの営業許可について詳しくはキッチンカーで販売するための営業許可とは?取得費用から流れまで解説をご覧ください。
ホットドック
ホットドッグはコーヒーとの相性が良く、調理が簡単なメニューです。パンとソーセージを焼き、キャベツなどの野菜を挟むだけで完成します。
さらに、ホットドッグは子どもから大人まで広く支持される商品であり、ソースやトッピングを工夫することで多様なバリエーションを提供することができます。
アイスクリーム
アイスクリームは夏にぴったりのメニューで、コーヒーなどのドリンクにトッピングして季節限定メニューとして販売したり、単品でも提供できます。冷凍庫を用意する必要はありますが、調理は簡単で、賞味期限も長いため、売れ残りの心配が少ないのが利点です。季節限定メニューとして取り入れるのも良いアイデアです。
スコーンなど焼き菓子
スコーンなど焼き菓子はコーヒーとの相性が良いスイーツで、キッチンカーでも手軽に提供できます。キッチンカー内にオーブンを設置すれば、焼きたてのスコーンなど焼き菓子をお客様に楽しんでもらえるでしょう。
焼き上がる際に漂う甘い香りは食欲をそそり、販売の雰囲気を引き立てる効果も期待できます。ジャムやソースを添えて季節感を演出すれば、カフェメニューとして人気を集めることができるでしょう。
コーヒー店のキッチンカー成功事例3つ
キッチンカーでコーヒー店を成功させるためには、独自の工夫や魅力的なサービスが欠かせません。 実際に、多くの人々に愛されるコーヒーショップをキッチンカーで運営している事例があります。ここでは、特徴的な取り組みで成功を収めた3つのお店をご紹介します。
Okei coffee
町田を拠点に活動するキッチンカー「Okei coffee」では、1杯ずつ丁寧に淹れるこだわりのコーヒーが評判です。 定番の「エスプレッソ」や「カフェラテ」だけでなく、「コーヒーゼリーラテ」や「自家製ジンジャーレモネード」といった個性的なドリンクも楽しめます。
さらに、コーヒー以外のメニューも充実しており、カフェが苦手な方やお子様連れでも気軽に立ち寄れるのが魅力です。町田シバヒロや芹ヶ谷公園など、複数のスポットで営業を展開しています。
バケネコーヒー
「バケネコーヒー」は、無農薬栽培の自家焙煎コーヒーが自慢のキッチンカーです。 店主自ら丁寧に淹れる一杯は、「珈琲」(450円)、「カフェオレ」(500円)、そして「甘酒カフェオレ」(500円)と、こだわりのラインナップです。さらに、店頭ではコーヒー豆の販売も行っています。
北海道全域で営業を展開し、場所によってはかき氷も提供可能です。ユニークな「バケネコ」店主との会話も、このお店ならではの楽しみの一つです。
虹色珈琲
静岡を拠点に活動するキッチンカー「虹色珈琲」は、人々が集い、つながりを育む場所を目指しています。提供するのは、自家焙煎のコーヒーやエスプレッソのほか、こだわりの「ブーケサンド」やコーヒー豆など多彩なメニューです。
出店先は、公園やマルシェ、ファームなど幅広く、訪れる人々に温かいひとときを届けています。お店の名前に込められた思いのように、地域の生活に鮮やかな彩りを加える存在です。
まとめ
キッチンカーでコーヒー店を開業する魅力や課題、成功のポイントについて解説しました。低コストで始められる一方で、競争や運営上の工夫が必要ですが、準備と努力次第で大きな可能性を秘めています。この記事を参考に、ぜひ自分だけの理想のカフェを実現してください。
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