キッチンカーのビジネスは魅力的でありながらも、その廃業率は高いと言われています。本記事では、なぜキッチンカーが廃業するのか、その主な理由と、失敗を避けるための実践的なコツを探ります。
キッチンカービジネスで成功をつかむためには、知識や経験の不足、高額な初期費用、出店場所の確保難、利益の不足といった問題にどのように対処するかが鍵です。開業前の準備や運営のポイントを押さえ、キッチンカービジネスの成功を目指しましょう。
監修者 池田 拓矢
キッチンカーの窓口代表。1990年生まれ。2015年4月にキッチンカーで全国営業を開始し、月250万の売上を上げるまでに飛躍。キッチンカー業者として働いた経験と、苦戦から脱却できたノウハウを活かし、業界に足りていない仕組みを補い業者に寄り添った仲介会社になるべく、2018年9月にキッチンカーの窓口を始動。詳しいプロフィールはこちら
監修者 池田 拓矢
キッチンカーの窓口代表。1990年生まれ。2015年4月にキッチンカーで全国営業を開始し、月250万の売上を上げるまでに飛躍。キッチンカー業者として働いた経験と、苦戦から脱却できたノウハウを活かし、業界に足りていない仕組みを補い業者に寄り添った仲介会社になるべく、2018年9月にキッチンカーの窓口を始動。詳しいプロフィールはこちら
キッチンカーの廃業率は高い
キッチンカーのビジネスは、新規開業率が高い一方で、廃業率も高いという特徴があります。これは、飲食サービス業全体の傾向と一致しています。
2022年の中小企業の調査によれば、飲食サービス業(宿泊業を含む)の廃業率は全業種の中で最も高く、5.6%でした。また、開業率も17.0%で最も高く、新陳代謝の早い業界と言えます。
特にキッチンカーは、1年以内の廃業率が約30%と非常に高いとされています。つまり、開業しても1年以内に3人に1人が廃業を選択せざるを得ない状況になっているということです。
このような状況を考慮に入れ、開業前には十分な準備と計画が必要です。
キッチンカーの主な廃業理由
キッチンカーの廃業率だけを示すデータはないため予想になりますが、考えられる理由は以下の4つです。
- 運営者の知識・経験が不足していた
- 初期費用が高すぎた
- 出店場所が確保できなかった
- 利益が少なかった
詳しく解説していきます。
運営者の知識・経験が不足していた
開業資金が比較的低く参入しやすい一方で、成功するためには多くの知識と経験が必要となります。出店準備、出店場所の確保、仕入れ、商品開発、集客、接客、売上やコストの管理など、さまざまな要素が関わってきます。
特に、個人でビジネスを始める方は、これらの要素をすべて自分で管理しなければならないため、集客がうまくいかないなどの問題に直面します。その結果、廃業を選択せざるを得ない状況になることもあります。
成功するためには、開業前に十分な準備と計画が必要です。出店場所選びや商品選び、ホームページやSNSでの集客戦略など、事業成功のための要素をしっかりと考え、計画することが重要です。
初期費用が高すぎた
キッチンカーの主な廃業理由に、初期費用が高すぎることもあります。特に、新車をカスタムする場合や、外装や内装にこだわる場合は、200万円〜300万円ほどの大きな費用が必要です。
これらの費用は、ビジネスの運営資金や生活防衛資金を圧迫し、結果的に廃業につながる可能性があります。
開業前には車両にかける費用と運営資金、生活防衛資金のバランスをしっかりと考えることが重要です。また、無理なく続けられるビジネスプランを立てることも大切です。
出店場所が確保できなかった
キッチンカーのビジネスにおいて、出店場所の確保は非常に重要な要素です。良い出店場所が見つけられなければ売上を伸ばすことが難しく、結果的に廃業につながる可能性があります。
都内のランチ難民が多いオフィスビル街など、需要が高い場所であれば、手ごろな価格のお弁当などの商品は飛ぶように売れるでしょう。しかし、同じ商品でも、人気の少ない場所ではほとんど売れないかもしれません。
人気の出店場所は競争率が激しく、出店するための費用も高くなります。移動販売ビジネスが人気を集めている現在、良い場所を確保することはますます難しくなっています。
これらのことを考慮に入れ、開業前には出店場所の選定に十分な時間と労力を投資することが重要です。適切な場所を見つけることで売上を伸ばし、ビジネスを継続できるでしょう。
利益が少なかった
利益が少ないという問題によって、多くの事業者が廃業に直面する可能性もあります。特に、以下の3つの要素が影響していると考えられます。
- 集客力
十分な集客ができないと、売上が伸びず、利益が出にくくなります。ランチタイムなど一定の時間内での販売には限りがあるので、その間に多くの客を集めることが重要です。
- 原価率
食材にこだわるあまり原価率が高くなってしまうと、利益が出にくくなります。食材を安価で手に入れられるルートを見つけること、そして原価をかける部分と原価を下げる部分のバランスを意識することが重要です。原価率は30%以内に抑えましょう。
- フランチャイズへの加盟
フランチャイズへの加盟は、簡単にキッチンカーを立ち上げる方法の一つですが、売上に応じたロイヤリティー(販売手数料)を払う必要があります。これが契約内容によっては高額になり、利益を圧迫する可能性があります。
これらの要素を考慮に入れ、開業前には十分な計画と準備をすることが重要です。
キッチンカーの廃業率が高い理由
キッチンカーの廃業率が高い理由は以下の3つです。
- 競合が出現しやすい
- 場所で検索されにくい
- 天候に営業が左右されやすい
詳しく見ていきましょう。
競合が出現しやすい
キッチンカーの廃業率が高い理由の一つは、競合が出現しやすい環境にあることです。特に、固定の店舗を構えている飲食店が新たな販売経路を求めてキッチンカー事業に参入したり、宅配の需要が高まるなど、競争が激化しています。
東京都福祉保健局の調査報告によれば、東京都でのキッチンカーの営業許可取得数は増加傾向にあり、オフィス街や店舗の駐車場などでのキッチンカーの姿も増えています。また、固定店舗からの参入やフランチャイズ展開などの動きも活発化しており、競争が一層激化している状況が見られるのです。
ただし、スマートフォンやSNSの普及により、集客や出店場所の確保が従来よりも容易になっている面もあります。これにより、キッチンカー経営における一つの壁が和らいだと言えます。
場所で検索されにくい
場所での検索が難しいこともキッチンカーの廃業率が高い理由の一つです。キッチンカーは固定の住所を持たないため、地域やエリア内での検索結果に表示されにくい傾向があります。
一般的な飲食店では、Google検索や口コミサイト、食べログやぐるなびなどのポータルサイトに登録することで、自動的に集客の機会が広がります。しかし、キッチンカーはこのようなサービスへの登録が難しいため、インターネットを通じた受動的な集客が基本的には不可能です。
キッチンカーでは、InstagramやTwitter等のSNSを使い、イベント情報や出店情報、新商品発売やキャンペーン情報などを写真付きで投稿することで、顧客との密接なつながりを築きながら積極的にアピールすることが効果的です。
ただし、このアプローチには時間と労力が必要になるのでご注意ください。
天候に営業が左右されやすい
キッチンカーの廃業率が高い理由に、天候に営業が左右されやすいこともあります。キッチンカーは基本的に屋外で出店するため、天気や出店する場所によって売上に大きく影響されます。
特に雨天時や強風などの悪天候では、集客が困難になり、売上が大幅に落ち込むのです。また、日本の四季の変化によっても売上に影響があります。
暑い季節には冷たい飲み物の需要が高まり、寒い季節には温かい飲み物や温かい食べ物が求められるため、季節に応じたメニューの提供が求められます。
キッチンカー経営者は悪天候や季節の変化に備えるための対策が必要です。例えば、屋根やテントなどの設置によって雨天時でも営業できるようにすることや、季節ごとのメニューの開発や販促活動を行うことが重要です。
廃業しないためのキッチンカー開業前のコツ
廃業しないためのキッチンカー開業前のコツは4つあります。
- 十分な資金を準備しておく
- 原価率の設定を考慮する
- まずは副業で始める
- キッチンカーの製作会社を選ぶ
一つずつ確認していきましょう。
十分な資金を準備しておく
キッチンカーを廃業させないための重要なコツの一つは、十分な資金を準備しておくことです。以下に、キッチンカー開業前に資金を準備するための4つのポイントをまとめます。
- 資金計画の立て方を理解する
開業前には、具体的な資金計画を立てることが重要です。開業費用やランニングコスト、予想される収益などを明確に把握し、事業計画書を作成しましょう。これにより、必要な資金の目安を把握することができます。
- 余裕を持たせる
予期せぬ出来事や経営上の課題に対応するために、資金計画には余裕を持たせることが重要です。開業時の費用だけでなく、数ヶ月分のランニングコストや予備資金も考慮しましょう。トラブルや予期せぬ出費に備えることで、安定した経営が可能になります。
- 資金調達の方法を検討する
資金を調達する方法としては、金融機関からの融資や投資家との協力を考えることができます。信頼できるアドバイザーや金融専門家の助言を受けることも重要です。彼らは経験と知識を持っており、適切な資金計画の立て方や融資の申請方法を教えてくれるでしょう。
- 将来の成長を見据える
開業前に将来の成長や拡大を見越して、事業拡大や新たな投資のための資金も確保することが重要です。成功した後も成長を続けるためには、適切なタイミングでの資金調達が必要です。
以上のポイントを踏まえて、開業前にしっかりと資金を準備し、余裕を持たせることで、キッチンカーの廃業リスクを最小限に抑えることができます。経営に余裕があることは、事業の安定性と成長のために不可欠です。
キッチンカーの開業費用について詳しく知りたい場合は、開業費用相場について詳しく解説した記事「【入手方法別】キッチンカーの価格相場はいくら?必要な費用も含めて紹介」をご覧ください。
原価率の設定を考慮する
キッチンカー事業を成功させるためには、以下のような原価率の設定が重要となります。
- バランスの取れた価格設定
お客さんが購入しやすい価格設定にする必要があります。食材にこだわる場合は販売価格を上げ、販売価格を低くする場合は食材を安価に仕入れるルートを確保するなど、原価と販売価格のバランスも大切です。
- 原価率の把握
原価率を正しく把握することが重要です。原価率を適切に計算し利益を最大化する価格設定を行うことで、経営の安定性を高めることができます。
- こだわりのメニュー
高価でもこだわりのあるメニューは、ファンになってくれるお客さんがいる場合があります。顧客が価格に見合う価値を感じることが重要です。
以上のポイントを踏まえてキッチンカーの価格設定を行う際には、原価率の設定を慎重に考慮し、バランスを取ることが重要です。
まずは副業で始める
キッチンカーを開業する際には、まずは副業やアルバイトとして始めることがおすすめです。
副業で始めるメリットは2つあります。
- ビジネス経験を積める
- リスクを軽減できる
飲食業や接客業の経験がない場合でも、副業やアルバイトとしてキッチンカーを始めることで、ビジネス運営の経験を積むことができます。実際の現場で働きながら、飲食業の基本的な知識や経験を身に付けることができます。
また、他に収入の柱がある副業なら、失敗しても生活が脅かされることはありません。資金的にも時間的にも余裕があるため、失敗を恐れずにさまざまなアイデアを試すことができます。リスクを軽減しながら、キッチンカー事業の実践を通じて学ぶことができるでしょう。
キッチンカーを副業として始めることについて詳しく知りたい場合は、「キッチンカーの副業は稼げる?開業の流れ・注意点・成功のコツを解説」の記事をご覧ください。
キッチンカーの製作会社を選ぶ
キッチンカー事業を成功させるためには、製作会社の選定が大切です。キッチンカーの製作会社は様々で、質の悪い車両に高値をつけている会社も存在します。
そのため、複数の会社から話を聞き、よく比較検討することが必要です。
次に、保健所での営業許可も重要なポイントです。キッチンカー製作後に、保健所での営業許可が取得できる仕様になっていないと、再度改造が必要となり、余計な費用が発生する可能性があります。
また、新しい地域での営業を考える場合、その地域の保健所での営業許可の条件を満たす必要があります。これらの点についても、製作会社と事前に相談しておくことが重要です。
キッチンカーの費用相場について詳しく知りたい場合は、「【入手方法別】キッチンカーの価格相場はいくら?必要な費用も含めて紹介」の記事をご覧ください。
廃業しないためのキッチンカー運営のコツ
廃業しないためのキッチンカー運営のコツは4つあります。
- 出店場所を複数確保する
- 看板やタペストリーで目立たせる
- 情報収集をしながら営業していく
- 運営のアドバイスを受ける
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
出店場所を複数確保する
キッチンカー事業を成功させるためには、出店場所を複数確保することが重要です。まず、出店場所の確保をしましょう。
移動販売の利点は、自ら需要のある場所に移動できることです。このメリットを活かすために、需要のある出店場所を開拓し、確保します。
いつも利用している出店場所が先方の都合で突然出店できなくなってしまうケースもあります。そのため、複数の出店場所を確保しておくことが重要です。
次に、エリアの拡大も一つの手段です。移動販売に慣れてスムーズに営業ができるようになってきたら、エリアを拡大してみることを考えてみてください。出店する地域が広いほど、場所を確保しやすくなります。
看板やタペストリーで目立たせる
キッチンカーを運営する際のコツの一つは、看板やタペストリーなどの目立つ装飾を活用することです。
キッチンカー事業を成功させるためには、以下のような工夫が重要となります。
- 視覚的な演出
- 商品と写真の一致
- SNSでの拡散
移動販売車の外観や看板を魅力的に演出することで、お客さんを集めやすくなります。商品メニューを写真で見せたり、横断幕やタペストリーなどで大きく紹介することも効果的です。
次に、写真と実際の商品が一致することが重要です。写真と商品が異なると、お客さんががっかりし、リピートしてもらえなくなる可能性があります。そのため、写真と商品は一致させ、お客さんの期待を裏切らないようにすることが大切です。
また、おしゃれでオリジナリティのある外観の移動販売車は、遠くからでも見つけてもらえたり、SNSで写真を拡散してもらえたりします。これにより、より多くの人々にキッチンカーの存在を知ってもらい、集客につながります。
情報収集をしながら営業していく
キッチンカー事業を成功させるためには、情報収集とその活用がカギを握っています。
以下に、具体的な情報収集方法について詳しく説明します。
競合他社の情報収集
同じ地域や同じジャンルのキッチンカーがどのようなメニューやサービスを提供しているのか、どのような集客方法を取っているのかを調査します。
これにより、自らのキッチンカーが差別化を図るために何を提供すべきかを見つけることができます。
市場動向の把握
食のトレンドや消費者の好みは常に変化していますので、SNSや飲食業界のニュースサイト、ブログなどを積極的にチェックします。
最新のフードトレンドや人気のメニュー、注目されているイベントなどを把握することで、自らのメニューや販売戦略をアップデートすることができます。
顧客とのコミュニケーション
顧客の声を直接聞くことで、改善点や新たなニーズを把握します。
アンケートやフィードバックボックスを設置する、SNSやウェブサイトで意見を募集するなど、様々な方法で顧客とのコミュニケーションを図ります。
情報収集の習慣化
時間を設けて情報収集を行う習慣を身につけます。週に一度は情報を集める時間を作り、定期的に市場動向や競合他社の動向をチェックしましょう。
業界のセミナーやイベントに積極的に参加し、情報交換や他の経営者とのネットワーキングを通じて、新たな知識やアイデアを得られます。
キッチンカーの仕込み場所について詳しく知りたい場合は、「キッチンカーの仕込み場所とは?確保の選択肢と不要な場合まで詳しく解説!」の記事をご覧ください。
運営のアドバイスを受ける
キッチンカー事業を成功させるためには、運営のアドバイスを受けることが重要です。
成功者やプロからのアドバイスを受けることで、自らの事業をより効果的に運営し、問題や課題に対処する能力を高めることができます。彼らの経験と知識を活かして、キッチンカー事業を成功に導きましょう。
まとめ
本記事では、キッチンカー業界では、廃業率が高いとされていますが、その主な理由や、成功するためのコツについて解説しました。
廃業を避けるためのコツは、開業前には十分な資金の準備、原価率の設定の考慮、副業から始めること、適切なキッチンカーの製作会社の選択などです。これらのコツを活用すれば、キッチンカーのビジネスでも成功をつかめるでしょう。
キッチンカーのビジネスは困難も多いですが、成功したときの達成感は大きいものです。ぜひ、これらのポイントを参考に、キッチンカービジネスを成功させてください。
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